DRC「赤アソート」2002年・一気試飲!


こんなチャンスはめったに巡ってくるものではありません。
てか、初めてです。
神の雫」でさまざまな取材にご協力いただいている、大手ワイン
スクールの「アカデミー・デュ・ヴァン」の講師である斎藤さんから
「2002年のDRCの赤アソートの試飲、しますか」
というメールをいただいたのは、2週間ほど前のことでした。

ちなみに、DRC赤アソートとは、ブルゴーニュを代表する──いや、
世界のワインの頂点に輝くといってもいいすぎではないドメーヌ
・ド・ロマネコンティが造る、宝石のような
ピノ・ノワールの特級ワイン
たちのことです。
トップ・キュベの「ロマネ・コンティ」、ロマネ・コンティ
「腕白な弟」といわれる「ラ・ターシュ」、
神の雫』1巻でも登場、百の花の香りを集めたと賞される「リシュブール」、
ロマネ・サンヴィヴァン」「グラン・エシェゾー」そして「エシェゾー」。
(ちなみに本来、アソートといえば
これに白の最高峰「モンラッシェ」が加わりますが、今回はそれは
除外だそうで、ようするに【赤のアソート】ですね)。


赤ワイン6つの特級のうち、ロマネ・コンティとラ・ターシュは
いわずとしれたDRCの「単独畑」です。
それにしても世界のワインマニアの「」であり、揃えれば
100万円以上するDRCアソートを「「毎年、試飲しています」という斎藤氏は、
ただ者ではありません。ワインの
知識、感覚、造詣の深さもハンパじゃないです……ハイ。
まっ、斎藤氏の凄さを語りだすと、このブログ3日分くらいになって
先へ進みませんので、ここはひとつ、DRC 2002年赤アソートの
話に絞ろうと思います。



ちなみに、マニアなら垂涎のDRCアソートですが「2002年はどうなのかな?」
と、亜樹はかねてより疑問に思っておりました。というのも、
ピノ・ワインには評価が厳しいけれど、DRCだけは例外的に
大好きなR・パーカーさんが
「2002年DRCはよくない!」と、ほうぼうで語っているからなんです。
それって、ほんとなのかな……。
だって、あのブルゴーニュ受難の年の2000年でさえ、DRCの出来ばえは決して悪くはありませんでした。
それなのに、ブルゴーニュ地方が稀にみる葡萄の出来ばえに沸いた2002年で、
天下のDRCのワインが「イマイチ」だなんて……、そんなことってあるんでしょうか。
自ら確かめてみるべく、2002年アソートのうちの何本かは入手し、近々試飲してみよう
と思っていましたが、そんな折、斎藤氏からの有り難いお声がけがあったわけです。


──某日午後6時半、アカデミー・デュ・ヴァンを訪ねてみると、斎藤氏はすでに
赤アソートをずらっとならべて、「澱」と「澱以外の部分」とにワインを分別しながら、
亜樹の到着をまっていてくださいました。

じつは亜樹、DRCのワインを飲むときは、いやしくも「澱も残さず」最後の一滴
までガッツリと飲んでおりましたが、
「ん〜〜〜それはやめたほうがいいですね
気持ちはわかりますが我慢してください。
というのはDRCは究極のビオ(自然派)ワインで、澱引きもしないしそのまんまの
造りなので、澱が多いんですよ
でも澱って、おいしくないんです。どうぞ、澱ワインの試飲を」。
勧められて、澱だけ集めたグラスを飲むと……たしかにマズイ!
酒のカスというか、なにやらブヨブヨした味で、ワインとは別物の味です。

「ネ? ですからDRCをはじめ自然派ワインは、やっぱりデキャンタして
澱をわけてから飲んだほうが絶対おいしいです
」(斎藤氏)
なるほどねぇ〜と感心する亜樹。
澱だけ集めて飲んだのはさすがに初めてで、
しかもDRCの澱の多さには改めてビックリでした。ほんとに凄い
です。「もっこり」とした量なんです。

DRCを「奥の院」まで知りつくしている斎藤氏、「さあ、ではいよいよ
試飲です。こちらにいらしてください」と、02年赤アソート(澱以外)
を注いだ6つのテイスティング・グラスを別室に運んでくれます。



ごくり……。
斎藤氏の瞳が、わけありっぽく、怪しく光り、亜樹は
なんだかちょっとドキドキしてきました。

さあ2002年DRC赤アソート、ブルゴーニュ最高の年に造られながらも
「天下の凡作」と囁かれるこれらのワインたち。そこには、
いったいなにが隠されているんでしょうか?
……以下次号。

↓23日、5巻発売です。予約もう済みましたか?

神の雫(5) (モーニング KC)

神の雫(5) (モーニング KC)

神の雫(4) (モーニング KC)

神の雫(4) (モーニング KC)









温泉でワイン


正月に、熱海温泉にいきました。
温泉宿にワインを持ち込んで、至福の【ウダウダな休日】を過ごす計画です。
熱海には、亜樹の気に入りの温泉ホテル「H」がありまして、
ここは品のいい野菜中心の懐石料理を出すんですね。
お値段もチト高い宿ですが、ま、正月くらいはいいか、とフンパツです。

料理にあわせて持ち込むワインは、やはりブルゴーニュ
ちょいと張り込んでジャック・フレデリック・ミュニエ
「シャンボール・ミュジニー・レ・ザムルーズ」
2001年です。

これは神の雫本編で登場した「第一の使徒と畑も
ビンテージも同一のワインです。
生産者は違いますが、ミュニエのレ・ザムルースは別格と思われます。
なにしろこの生産者、30歳まではエンジニアだった
そうですが、「特級ミュジニーと一級レ・ザムルースが
造りたくて、ワイン造りを始めた
」と言ってのけるようなおヒト。
つまり、シャンボール・ミュジニー村のワインに
ぞっこん惚れ込んでる造り手なんですね。それだけに
レ・ザムルース01年、期待は高まります。
なかなか手に入らないこのワイン、亜樹のコレクションの
中でも、かなりのお宝といっていいでしょう。
……がっ!


亜樹の計画では、この温泉ホテルの料理は「ワインのサシミのツマ」
にすぎず、主役はあくまでもレ・ザムルース……だったのですが、
でてくる料理が、なんか去年までと違う?!
「品のいい懐石」のハズだったのに、いきなりボイルされた伊勢海老の半身が!
「なんかヘンだ」といやな予感がしたので、ワインの栓はあけずに様子を
みていますと、テーブルにはフォアグラつきステーキ、
さらに海老の煮物、肉の時雨煮……海老、肉、そしてまた海老……と
重〜〜い料理が怒濤のように運ばれてくるじゃありませんか。
もちろん、こんなのブルゴーニュには、ましてやシャンボール・ミュジニー
村のワインにはまったく合いません!

おまけにその量たるや、まるでワンコ蕎麦。一皿やっと食べられたと
思ったら、また次の海老そして肉料理が……。
残すのも悪いし勿体ない、と思いつつがんばって平らげているうちに
鉄の胃袋を誇る亜樹も、だんだん苦しくなってきました。

ぐっ……ほんとに苦しい……。
お願いもうヤメテ、と消化器たちが叫んでいるのがわかります。
あと一尾、海老がでてきたら、食道から逆噴射しそうです。
動物性タンパク質を大量食いすることが、こんなに苦しいことだったとは!
これはもう我慢大会……いや、拷問に近い。


最後にでてきたデザートは、とうとう手をつけずにそのまま
お引き取りねがいました。
膨張しきった胃袋をかかえて、夕食後の気分は最悪
あとでよくよくきいてみたら、このホテル「H」は経営者が変わったため
コックさんも変わってしまい、去年までとはがらりと違うサービスになった
とのこと。なるほどと納得しましたが、それにしても舟盛りにしろ、
伊勢海老の半身にしろ、旅館の夕食ってやつは、どうみたって
ひとりの人間が一食でたいらげる量を超えていると思いませんか?
しかも、動物性タンパク質が多すぎませんか?
野菜より処理がラクで豪華にみえるってことなんでしょうけど、
肉食動物じゃないんだから、ねぇ?


てなわけで、料理をワインにあわせるどころの騒ぎではなく、
胃の膨張感と戦いながら4、5時間、腹をすかせるために
風呂場を行ったり来たり、ゲームセンターを歩き回ったりして、
ようやくワインを飲める腹具合になってきたのは、
夜も12時をまわったころでした。(……クッ)。

やっと本題のシャンボール・ミュジニー・レ・ザムルースです。
(前置きが長くてスイマセン……)

ミュニエのこれは、ほかの造り手とやや趣を異にしています。
本来は、透明な泉のほとりにたたずみ、小鳥のささやきと木の葉のざわめきに
耳を傾けているような「陰」のワインであるレ・ザムルースですが、
これはやや強めの造りです。むっちりとした凝縮感、濃度があり
甘さと色気があり、しかしながらミュジニー村の気品と静けさを備えている。
レ・ザムルースのなかでは、かなり「陽」を感じさせます。


この造りを是とするか非とするかは、好みの分かれるところなのでしょう。
でも、木漏れ日がきらきらと差し込む森のなかをひとり散歩するように
静謐な中にあってちょっぴり楽しげなこのワイン──亜樹は、好きです。


↓4巻品薄です! 近々発売の5巻も予約してね!

神の雫(4) (モーニング KC)

神の雫(4) (モーニング KC)

あけましておめでとうございます


とうとう新年になっちゃいました。忘年会だのワイン会だのが忙しく、
更新をまたぞろサボッていた亜樹ですが、今年はもっとガンバッテ
書きます、ワイン日記。
それとみなさん、わけあって近々このブログをお引っ越しすることに
なりそうです。引っ越し先の住所は、近いうちにこの欄やモーニング誌上
でお知らせしますので、新住所になりましてもよろしくお願いしますね。



さて、06年初のお題は、ローヌです。
実は亜樹は、ワインを飲みはじめた頃は、ローヌってあまり
ピンとこなかったんです。
フランスのワインといえばやはりボルドーブルゴーニュという二大産地
王様と女王様のような存在
ですから、ちょっと地域的にも外れたところに
あるローヌは、なんというか「侍従」みたいなイメージで……。
「あそこは昔、テーブルワインの産地だったし」
という思い込みもあったのかもしれません。



それが「ローヌって美味い!」
と意識を改めたのはギガル、そしてシャプティエのワインを飲んだ時です。
パーカーさんをして死ぬ前に飲みたい1本といわしめた
ギガルの「コート・ロティ・ラ・ムーリーヌ 」(高いですが美味い)
そしてシャプティエの「エルミタージュ・ル・パヴィヨン」(これも高い。
でも美味……)。この二つを飲んで、こりゃ参った、って感じに
なりました。酒質、複雑さ、深み、香りとコク、どれをとっても
この2つに勝てるワインは、そう多くはないと思います。


ただまあ、これらの秀逸ローヌワインは、だいたい「北ローヌ」地区
でつくられているワインなんですね。
ちなみにローヌ地方のワイン産地は北部と南部に分かれていて、
「質の北ローヌ、量の南ローヌ」なんて言われかたをしています。
だから亜樹もまた、「北ローヌについては美味いことを認識したが
南はどーなのか」と、細かいレベルの偏見をもっていたんですね。


それが「南ローヌって美味い!」
と偏見がぶっとんだのが忘れもしない
ドメーヌ・デュ・ペゴーV「シャトーヌフ・デュ・パプ・
キュヴェ・ダ・カポ
」との出会いでした。(↓)


実はこのワイン、フランスのワインショップで勧められて買って帰って来た
のが始まりでした。ところが値段は高いんだけどエチケットがいまいちダサめ
だったため、「買ってはみたものの南ローヌだし、そんなにおいしく
ないのかも」と思って、特にもったいぶらず、なにげな〜く開けて
しまったんですね。しかも、人が大勢いるワイン会の席上で。


……ところがっ!
飲んだ瞬間、目玉がとびだしそうになりました。
これ、メチャメチャうまい。
栗、カスタード、黒い濃厚な果実のエキス……。こりゃただ者じゃないと思って調べたら、パーカーさんはなんとこのワインに
100点満点を献上していました。

しまった、こりゃ何気に飲むワインじゃない〜!と亜樹はその場で
猛烈後悔しましたが後の祭り。なにせ開けた場所がワイン会なので、
ウメエウメエと、みんなにどんどん飲まれて減っていくのが悲しかったなあ。

それですっかり南ローヌのワイン、好きになっちゃったんですね。
「またあの栗のような味わいのワインに出会えるかもしれない」
と、ついつい期待してしまいます。
その期待を裏切らなかったのはシャトーヌフ・デュ・パプ
「クロ・デ・パプ」
2003年。
これも、エチケットがいまいち美味しそうじゃなくて、
やぼったかったんです。だから逆に「もしかして、栗ワインなんじゃ……」
と条件反射的に期待してしまいました。
そしたら……大当たり

65%グルナッシュ、20%ムールヴェードル、10%シラー、残りは
クノワーズとミュスカルダンで構成されたこのワインは
光を透さない紫色で、栗、カスタード、完熟した黒い果実、
紅茶、チェリー・ブランデー……。
でも、単に濃いだけ
の味わいではありません。なんというか、淑女の微笑みのような気品もあるんですよ。


あまりに美味いためペロリと飲んでしまってからいろいろ調べたら、
なんとこのワイン、
パーカーさんが「96〜99点」をつけていたらしい。
パーカー超高得点ワインであるにも関わらず
1万円前後で買えるのですから、安い……!
と思って、もう1本購入しようと思ったら、このワイン、もう
どこのネットショップでも「売り切れ」でした。……ガーン。

このワインがどこかで売っているのをみかけたら、
ぜひ亜樹に教えてください。もう一度、ぜひぜひ飲みたいです

しかし、ブルゴーニュの評価や、アメリカのワインにたいしての評価には、どうも納得のいかないものの多いパーカーさんだけど、ことローヌの評価に関しては、かな〜り信頼できる得点をつけてるんですよねえ。
パーカー信者ではないつもりなんですが、ヌフはパーカー得点が高いとつい買ってしまいます。
ははは。



神の雫(4) (モーニング KC)

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ムートン2003年を飲んだ


寒いですねぇ〜〜。
亜樹がこどもの頃は、冬になるとよく水道が凍って水がでなくなったりして、
それは困るってんで、夜のあいだ、ポツリポツリと蛇口を緩めて水を垂らして
おいたもんです。こうすると、凍らないんですよね
(あっ、ちなみに亜樹の実家は東京都下にあったんですよ。決して東北とか
寒いところの話じゃないんです。ン十年前の東京は、今よりずっと寒かった
わけなんですね、ハイ)


思い出しついでに書いちゃうと、その水道のシンクの下には
食品貯蔵用の戸棚がありまして、糠味噌のとなりに、
赤玉ポートワインてのが仕舞ってありました。それも、すごく大事そうに。
父や、祖母とかも、それをチビチビ飲んでいましたねぇ。
亜樹が「ねえ、それおいしいの?」と聞くと、
父親はいつも、「当たり前だ。これはお前、ワインっていうアチラの葡萄酒なんだよ。
うまいに決まってるだろうが」
と、切り返してきました。ちなみに父は欧米のことをアチラ、と呼んでいました。
恐らく「こちら」が日本、「あちら」が欧米ということでしょう。

赤玉ポートワインは、その後、時代の流れとともに
定番商品の地位を追われていくわけですが、
「ワインというアチラの葡萄酒」を日本人に知らしめた役割は大きかったと思います。



さて、のっけから思い切り脱線しましたが、この日曜日、亜樹は
近所のワインショップEで行われた「バロン・フィリップ・ド・
ロッチルド系ワイン、一気飲み」
というイベントに顔をだしました。
ボルドーポイヤック村の一級シャトー、ムートンを筆頭に
チリ、南仏など、さまざまなエリアで造られているバロン.F.ロッチルド系
ワインは、それぞれに似たようなDNAをもっているといわれています
有名どころではチリのアルマヴィーヴァなどもそうです。

それらを並べて飲み比べるという試みには、興味をひかれました。
でも、それでEのイベントに行く気になったわけではありません。
亜樹の最大の目的はムートン03年を飲むことでした。

ムートン03年。このワインは、じつは昨年秋にシャトー・ムートンに取材に行き、
樽からの試飲をした経験があります。
樽でまだ眠っている途中のムートンを飲んで亜樹は
「すごい美味……しかも、もう飲めるじゃん!」と、ちょっと感動して
しまったので、そのワインが完成し、試飲できると聞いて、矢も楯もたまらなく
なったわけです。


その日の試飲ラインナップは8種類でした。白2、赤6です。
8アイテムのトリが、ムートン03です。
店内はもちろん、ムートン目当てのお客で
イモ洗い状態にごった返しています。
まずは、店の2階の試飲コーナーに鎮座するムートンのボトルを
見ながら、試飲開始。どうです、このエチケット。レトロ
カンジで、かっこいいでしょ?


8種類一気飲み、といってもムートンの前のワインは、
いってみれば「前座」みたいなもんです。
チリの銘酒といわれるアルマヴィーヴァは、好きな人は好きだと
思いますが、これはどうも個性がキツすぎて、亜樹の好みでは
ありません(まずいというわけではありません。好みの問題)
でも、なかには「おっ、旨い」と思ったワインもありました。



ムートンの次に旨い、と感じたワインは
その名をバロナークといいます。
AOC「リムー」という聞き慣れない地区ですが、
ラングドックから独立して最初のビンテージが03年
てなことでした。そのときEでは6000円くらいで売って
いましたが、ネット酒店では4000円くらいで見つけることが
できました。これはお買い得です。03年という
偉大なビンテージも手伝ってのことでしょうが、
濃厚でパンチがあり、厚みと風格がありました。

使われている葡萄品種も面白いです。カベルネ・ソーヴィニヨン
カベルネ・フラン、メルロの3種類ほか
グルナッシュ、シラー、マルベックをブレンド
しています。
まるでメドックと南仏の結婚みたいな合わせワザで、
それだけでも試飲してみる価値アリです。


さて……ムートン03年。
そりゃもう、凄かった。
複雑さ、果実味、香り、どれをとってもピカイチの一級品です。
しかし不思議なことに、できたて03年であるにも関わらず「幼児殺し」
してるカンジはあまりしなかった。
グレイト・ビンテージのボルドーは若いうちに飲むとだいたいタニックで
飲みづらいですが、果実の熟成感のせいか、「もう飲める」
ような旨さがあるんです。不思議でしたねぇ、これは。
といっても、実際にはまだまだ寝かせなくては勿体なくて飲めませんけれど・・。


この日、航空便で仕入れたというムートン03年を「E」で購入した亜樹は、
まるで愛しい赤子を寒風から守るように、両手でシッカリとボトルを抱えて帰途についたのでした・・・・。

神の雫(4) (モーニング KC)

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ロマネ・コンチを飲んだ

(二日以内に更新するようなことを言っていて、また延びましたね。すいましぇん・・)
さて、フランスの「笑うせぇるすまん」、ムッシュ・スドウ率いる
スーパー・プレミアム・ワイン会、
11月27日のテーマは「ロマネ・コンチ72」!!


亜樹の目の前におかれたロマネ・コンティ……。さっそくちょっとだけ飲んでみます。
1時間前に抜栓されたとのことで、落ち着いた枯葉のような香りが漂っています。
うーん、取材で訪れたパリの町の、はらはらと落ちていく
マロニエの葉を思い出すなあ。
そしてダージリンの香り、乾した黒い果実、ざくろ、薔薇……。
ワインのサムライたちも、ピアニシモの曲に耳を傾けるような静けさで、
ワインの「囁き」を真剣に探しています・・・。ワイン会にふさわしくない、まるで
お祈り中の教会のような静けさが会場を包みます。


しっかし、複雑だなあ、ほんとうに。
まるで点描作家・スーラの絵みたいです。
カレンダーによく使われるあの有名な
グランド・ジャット島の日曜日
思い出します。無数の点々が、複雑に交錯し合ってひとつの絵として
形を成しているあのフシギな絵……。

んっ?
そんなことを考えてチビチビ飲んでいるうちに、グラスのなかのワインが
かなり減ってきています!というか、3分の1くらいになっちゃってる
「ホ〜ッホッホッホ、ダメですよ亜樹さん、がっついちゃ
ロマネ・コンチが時間経過でどのように変化するか、チェックできなく
なっちゃうじゃないですか

と、向かいに座ったムッシュ・スドウが亜樹を嘲笑っています。
「し、しまった。ちょっとくらい残ってないんすか?」
「あるわけないでしょ。ボトルにへばりついた澱のカスしか残ってないですよ」


1時間後、思った通り、亜樹のグラスはほぼからっぽに。
その他のワインを次々と飲みながらも、サムライたちがうまいこと調整して
グラスに残しているロマネ・コンティが気になってチラチラみていると、
隣に座った美女が「どうぞ……。私まだたくさん残ってますから、
ちょっとだけなら」
おお、ありがとう!顔だけではなく心もキレイなんですね〜と、
いただいちゃおうとしたところ、ムッシュが冷た〜い一言。
ダーメ。もらえるのは匂いだけですよ、匂いだけ!
「……」




と、まあ、そんなわけですばらしかったです、ロマネ・コンティ
72年はニュイは非常に良好なビンテージでしたので、
30余年を経てちょうどいい具合に成熟していました。
ちなみに時間をかけてチビチビ飲んでいたサムライたちのコメントによれば、
抜栓から3時間くらいが一番のピークだったようです。


夢のワイン、ロマネ・コンティ……。
こんどこのワインにめぐりあう時はいつかしらん……と空のグラスを眺めつつ
思いを馳せていると、最後にムッシュ爆弾発言
「いやあ、よかったですねえ、ロマネ・コンチ。そうだ、来年は
ラ・ターシュとかリシュブールとかも揃えて
ロマネ・コンチ&DRCのタテ試飲をやりましょう。
参加予約する人、います?」


その場にいた全員がシュッと手を上げたのは、いうまでもありません。

神の雫(4) (モーニング KC)

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12月になっちゃいました……。


またさぼってました、更新を。
すいません・・・。
ちょいと仕事が忙しく、それにビッグな?ワイン会もあったりして、
書こうと思ったらうたた寝しちゃったとか、酔っぱらって寝てたとか
ずるずる&のびのびしていました。お許しください。


さて、久々に「ビッグなワイン会」その1のレポートをします。
亜樹ブログを愛読してくださっている皆様にはお馴染みの
フランスの「笑うせぇるすまん」、ムッシュ・スドウの
登場でございます。

0081009478630……なんてカンジの
例によって違和感ただよう着信番号のコールがあったのは
10月のことでした。
もしや・・・)と出ると、やはりおフランスからの電話。
鬼才ワインジャーナリスト、ムッシュ・スドウ
いつになく弾んだ声がとどきます。



ムッシュ「はぁ〜〜い、亜樹さん。スドウですぅ。飲んでますかぁ?」
亜樹「ええ……飲んでます」←ちなみにいつもの反応
ムッシュ「あのねぇ、11月末ににすご〜いワイン会やるんですよぉ。
よかったらどうかなと思って。亜樹さんにだまってこれ飲むと
あとでうるさそうだし」
亜樹「11月末かあ……忙しい時だなあ。飲んでるヒマあるかな。
でも一応、何のむか聞いておこうかな……何です、こんどは」
ムッシュ「ロマネ・コンチです」

亜樹「……」
ムッシュ「でも忙しいんだったら無理に……」
亜樹「いえ、忙しくなくなりました。たった今」

というやりとりを経て、11月27日、「神の雫」御用達の
フレンチ・レストラン「パリジェンヌ」さんに個室をとっていただき、
ロマネ・コンチ72 年を(と、ムッシュはそう発音します)を
のむ会をやることに・・・。むろんその他のワインも9本ありまして、それぞれ
面白いワインなんですが、やはり目玉はロマネ・コンチ、ということで。



ちなみに今回はモノがモノだけに、いつもより会費がお高くて
家を売ってもワインを買う心構えの亜樹も「あら、お高い」とちょっと
思ってしまいました。そうですね、ま、都下のワンルームマンションの
家賃くらいでしょうか
。それでも、ムッシュがワイン会の告知をした
とたん、あっと言う間に定員が埋まってしまったそうです



そして当日・・・。
所用があって、亜樹はちょいと遅刻して到着しました。
するとやはり! 例によって、会場には何度か顔を合わせたこと
のあるワインのサムライたちが、「われこそはロマネ・コンチの
味わいを、誰よりも鋭く表現してみせる……!」と目をギラつかせて
座っています。ちなみに彼らのうちの何人かは、当然のように地方都市から
この会のために駆けつけてきています。
ちなみに、当日のワイン・セレクトを特別にお教えしましょう。


①ロリィ ガスマン
ゲヴルツトラミネール アルザスセック83
②ポール・ペルノ
ビアンヴニュバタールモンラッシェ73
③ロマネコンティ72
④クロードデュガ
ブルゴーニュルージュ02
⑤フィリップバカレ
コルナス02
⑥メゾン・ルロワ
オーコートドニュイ ルージュ95
⑦シャトーシモーヌ(パレットAOC)86
⑧クロワドラヴリ96
⑨ペゴー
シャトーヌフドパプ キュヴェダカーポ98
⑩カレマ
ヴィンテージポート70


このなかのいくつかは、読者も「覚えがあるな」という感じだと思います。
味をなんとなく想像できるものもあるでしょう。
亜樹も④とか⑤とか⑥とかは何度も飲んだことがあるし、⑨はフランスから
持ってかえって飲み、あまりの甘美さにぶっとんだワインでした。
②のペルノは、73年はさすがに初めてです。シモーヌはエチケットはすぐに
思い浮かびますが、まだ飲んだことのないワインです。
そして、ロマネ・コンティはまだこれまで4ビンテージしか飲んだことが
ない・・当然、72年は初めてです

「さあ、注ぎますよォ〜?でも、がっつかないでくださいね。
年取ってるワインですから、ちょっとずつ起こしてあげないと
ダメなんですよォ」と、ムッシュ
亜樹の目の前のブル・グラスに、煉瓦色を帯びたバーガンディの液体が
丁寧に注がれました……ゴクリ。



ワインのサムライたちも、あたかも真剣白刃取りに挑むかのように
カタズをのんで、ワインを注ぐムッシュの手元を見つめています。
う〜ん、どうなんでしょうロマネ・コンチ72!
美味いには決まっているが、複雑さは?成熟度は?香りは?

てなことで前編終わり。明日もしくは明後日に後編を書きます。お楽しみに。


4巻発売しますた。絶好調です。あなたはまだ?

神の雫(4) (モーニング KC)

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ヌーヴォーを飲みました

解禁日には忙しくて飲めなかったので、昨晩ようやくヌーヴォーを
あけました。
モノは、2003年ビンテージを飲んでめちゃめちゃ美味だった
「フィリップ・パカレ」です。
ご存じの方も多いと思いますが
パカレは、巨匠ルロワの甥であるプリューレ・ロックの元醸造長。
プリューレ・ロックの名前を支えた影の功労者でもあるようです。


プリューレ・ロックの醸造長を辞めたとき、ブルゴーニュ
最高峰ともいえるロマネ・コンティ醸造長にという申し出が
あったとか。それを断って自らのドメーヌを興したという
伝説の男です。


パカレはボージョレ自然派,マーセル・ラピエールの甥でもあります。
またビオの神様といわれるジュール・ショヴェから直接指導を受けたことも
あり、彼のつくるワインはまさにビオのお手本といったところでしょう。

まあ、そんなウンチクはともかく、03年のパカレはほんとに旨かった
んですよ〜。ボジョレー・ヌーヴォーはジュースのようにスッキリと
軽く、薄めの味わいってのが通り相場だと思うんですが、パカレの
それは違いました。わりと濃いめで、奥行きがあり、複雑ささえも
兼ね備えていたんです。
ヌーヴォー騒ぎが収まったあとも、また飲みたくなって
ネット酒屋でたびたび買いました。もともとそんなに好きではないガメイ
のワインにこんなにハマったのは、後にも先にもパカレだけです、ハイ。

さてそんなわけで、パカレ、空けました。
しかし……。ン、ンン?
なんだかちょっと酸味が強すぎるなぁ。それに、微妙に舌にピリピリと
刺激が……。ビオ臭とも違う違和感のある香りもある……?

えっ?もしかしてこれ、ちょっと「イッちゃってる」の?ビオのワインはともかく
繊細でナマ物と同じ、というのはよくわかっていますが……


うーん、残念だなあ。楽しみにしてたのに!
1時間まっても、微妙な違和感はとれませんでした。
これが今年のパカレの味だとは思えないのですが
どうなのでしょう?飲んだ方、どうでしたか

じつは来月早々、「「ヌーヴォー一足遅れで楽しむ会」」を
神の雫スタッフで催す予定なんです。そのとき、もう一回パカレを
飲んでみたいと思います。
伝説の男のワインは、こんなレベルでは絶対ないと思いますので、リベンジ?です。

しかし……やっぱりビオって美味いけどリスキー、なのかなぁ。



↓ブログ読者だけに一足早く表紙を公開!
明日発売の「神の雫」4巻です。予約よろしくね!


神の雫(3) (モーニング KC)

神の雫(3) (モーニング KC)