シャトー・モンローズ88年を利く
みなさま、お待たせいたしました。
さんざんひっぱりましたが、とうとう飲みました、CHモンローズ!
いやー、これ、たのしみだったんですよ。
シャトー・モンローズは
「サン=テステフのラトゥール」
の異名をもつ、メドックの素晴らしき二級ワイン。
かのロバート・パーカーさんも
2000年ビンテージには97点を、来年市場に出回る
であろう03年ビンテージには97-100点を献上したそうです。
でも、パーカーさんは「71年から88年までのモンローズは
よろしくない」とも言っています。なんでも、力強くタンニンが重く
密度が濃く筋肉質のワインだったモンローズは、一時期、
消費者におもねるために、味の設計をソフトにしたようなのです。
しかしその軟弱な味わいに「これってモンローズらしくない!」と、
フランスの皆さんがそっぽをむいたため、86年からふたたび設計をかえて、
もとの重厚タニックスタイルに変えていった。その成果が
はっきりとではじめたのが、89年なのだそうです。
ですから、88年は、いってみればソフトなスタイルからもとの
重たいスタイルへ、もどりつつある途上のワイン。
それもおもしろそうじゃありませんか。さて……。
抜栓してみると、もんのすごく固いコルク。
いいワインのひとつの証ですね、このコルク。
いっぱい飲んでみると、うーむ、まだ古酒としてめざめていない。
澱が入らないように丁寧にデキャンタして、待つことにします。
ワインの色あいは、すでに茶系がはいっていて、古酒の世界の
彩りです……。
──1時間後。あ、そろそろめざめてきたようです。
うーん、かなりスッキリとした味わいですね。
パーカーさんが「軽い」と書いているのは、このすっきり感
のことでしょうか。余分なタンニンは、時をへてすでに
ワインに溶け込んでしまっていて、それがよけいに
軽やかさをきわだたせているようです。
香りはいささか弱く、ちょっとうるさい酸味、わずかな青臭さが
あります。が、さらに30分放置すると、ワインの奥から品のいい甘さ、
ミントの香りがたちのぼって。熟成香もはっきりしてきました。
でもなあ〜〜。
たしかにちょっと薄めで、パンチのきいたワインではありませんね。
いささか「化け損なった」ような印象は、ありますね。
“迷えるモンローズ”。そんな感じでしょうか。
こんどはぜひ、重厚さ炸裂の、本来の魅力にあふれた
モンローズを飲んでみたいものです。
- 作者: オキモト・シュウ,亜樹直
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/08/23
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