アンリ・ルブルソーを利く


先週飲んだこのワインについて、描くのを忘れていました。
このドメーヌ、日本では、あまりメジャーではありません。
検索かけても、売っているショップは、2、3件のようです。


このドメーヌを知ったのは、かなり以前になりますが、
とあるワイン・ジャーナリストの著作。
「誠実なワイン造りをするジュヴレイ・シャンベルタン村の
小さいドメーヌ」といった感じで詳しく紹介されていました。
でも、そもそも生産量が少ない上に、地元フランスでほとんどが
消費されてしまうとかで、日本ではあまり売られていないようです。
亜樹の好きなドメーヌのひとつ、ジャッキー・トルッショ・マルタンと同様に。


そうそう、ネット上で見つけたのですが、福岡のとある
マニアックなワインショップでは、このジャーナリスト
の著作に紹介されているワインをけっこう
扱っていましたね。しかしウエブから直接には買えない
(ファクスや電話でなら買えます)ので、あまり気楽にはオーダーできなかったんです。
これまで味わったのは、唯一、シャンベルタンのみ。ビンテージは失念しました。

そんななか、ある日ふと立ち寄った自宅近くのワインショップ「E」で
たまたま見つけたのがこれです。
アンリ・ルブルソー「マジ・シャンベルタン」97年。


97年ブルゴーニュは、あまり出来がよくないと言う
人もいますが、亜樹はわりと好きなんです。もちろん、99年のような
理想的な年ではないとはおもいます。でも98年などよりしっかりした骨格の
ワインができているような気がします。みなさん、どうですか?


さて、セラーから立てておいたワインを出してきました。
いささか高めの温度で保存していたんで、熟成がいい感じで進んでいる
ような気がしますが、どうかな……?



うーん、いいですねえ。グラスに揺らめくワインの色合いは透明な
ルビーです。香りは、いささか控えめですが気品がある。
木苺のなかにハーブの香り(セージでしょうか?)、苔むした森、そして茸もあるようです。
ただし華やかさ、ハデさは、あまりない。印象は地味で化粧っけのない
ワインですが、顔だちはすっきりと美しく、しっかりとした骨格
もっています。


このドメーヌ、おそらくは本格的な「昔造り」ブルゴーニュ・ワインを
つくっているんですね。小さい農家だとは知っていましたが、そこに
大地があり、人間がいて、ごつごつとした手でひとつひとつの葡萄を剪定
している光景が見えてくるようです。
“昔はこうだったのさ。みんなこうやってワインを造っていたんだ”──そんな生産者の独り言が聞こえてきそうなワイン。



ああ、いいブルゴーニュを飲んだなぁ。
なにやらほっとするひとときでした。

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