2002年DRC一気試飲……つづき!

斎藤氏みずからの手で、トレイに載せられ別室に運び込まれた
2002年DRC、珠玉の特級ワインたち。
ティスティングに使う、番号のついた丸い輪が書かれたペーパー
の上に、斎藤さんがひとつずつ、グラスをならべてくれます。
左から時計回りに、ロマネ・コンティ、ラ・ターシュ、リシュブール、
ロマネ・サンヴィヴァン、グラン・エシェゾー
、そして
エシェゾーです。これは、見事に値段の順番でもあり、
特級としてグレードの高い順番でもあります。
試飲は、もちろんライトなほうからです。
まずはエシェゾーから・・・。


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神の雫」単行本1巻の表紙の折り返し部分にもちらりと
書きましたが、亜樹はこのDRCの「エシェゾー」を熱愛しています。
なにしろワインにのめり込んだのも、エシェゾーの素晴らしい
味わいに衝撃をうけたのがきっかけだったんです。
実際、どんなオフ・ビンテージでも、DRCのエシェゾーは
不思議なほど魅惑的なんですよ。いわんや、世紀のグレート・
ビンテージといっても過言ではない2002年、さすがに
まだ若いでしょうが、美味しくないはずがない……と、
一口、口に含んでみると……。

ン?
ンン?
な、なんでしょう、これは。いつもDRCエシェゾーを飲んだ
瞬間に感じるあのシアワセ感が、まったく感じられません。
……というか、あんまり美味しくないぞ、これ
「ねっ?例年のDRCとは違いますでしょう?」と、斎藤氏。
ほんとうにそうです。こんなエシェゾーは、初めて飲みました。
評論家のパーカーさんが02年DRCに辛口評価だったという
話、飲んでみるまでは「どうして?」と不思議でしたが、
飲んでみてわかりました。おそらく、DRCは葡萄の収穫時期
見誤ったに違いありません。なんというか、ワインから葡萄の声が
聴こえてこない、
ボンヤリとした印象です。



特級ラインナップの中では、若いうちは岩のように固く、
テコでも開いてくれないグラン・エシェゾーが、意外なほど
飲みやすかったのが印象的でした。その他の特級達は、
例年よりも「ちと平凡」な出来ばえだったですね。
ロマネ・コンティも、いまひとつ小ぶりな仕上がりで、
ラ・ターシュとの差があんまりないように思えました。
そういう意味では、ラ・ターシュの出来はよかったのかもしれません。
ロマネ・コンティとラ・ターシュの値段の開きはン十万ですが、
02年に限っていえば「その値段の差ほど、味わいの差はない」と、亜樹は思います。


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天下のDRCでさえも、収穫のタイミングを見誤るとこのような凡作をつくる
ことがある……。どのような偉大な作り手も、天と大地の声に、
常に謙虚に耳を傾けていないと、決して偉大なるワインを造ることはできない、という見本かもしれません。


神の雫(5) (モーニング KC)

神の雫(5) (モーニング KC)