ブルゴーニュの「良心」


ほんとうに、このドメーヌのワインを飲むたびに、
「きっと、生産者はすご〜くいいヒトなんだろうなぁ」と、
亜樹はつい思ってしまいます。
儲け心とかではなく、
おいしいワインをたくさんの人に飲んでほしいと思っている
良心的で、温厚な作り手の姿が思い浮かんでしまうんですねぇ。



このドメーヌ「ルーアン・ラローズ」はジュヴレイ・シャンベルタン村に
本拠を置き、綺羅星のごとき特級畑を6つも所有しています。なんと自社所有畑の半分が特級畑
だというのだから、「すごい」というほかに言葉がありません。



ところが、そのように数多くの特級畑を持ち、
素晴らしいワインを世に送りだしながら、けっして
金儲け優先ではありません。
なぜなら、価格が軒並み高騰──とくに特級畑は万札なしでは買えない
状況になりつつあるブルゴーニュ・ワインの中で、ここは1万円
を切る価格
で、品質の高い特級ワインが買えるのです。

たとえば、亜樹がときどき利用しているネットショップ『K』をのぞいてみますと、
特級畑「シャンベルタン・クロ・ド・ベズ」02年が9800円。
ミュジニー村の特級「ボンヌ・マール02年が8800円(ちなみに
ここのボンヌ・マールは、むちゃくちゃ美味なんです)
同じく特級シャペル・シャンベルタンが5000円台、
特級クロ・ド・ヴージョが7000円台……という具合。
まあ、高いといえば高いのかもしれないですが、このドメーヌ
のつくるワインのレベルはかなり高く、どれを飲んでも「はずれ」はありません。
それを思えば、これらのワインの値段は、そうとうに良心的
だと亜樹は思います。


そんなドルーアン・ラローズの最大の「お宝」は、なんといっても
シャンボール・ミュジニー村を代表する特級畑の「ミュジニー」です。
もともとシャンベルタン村でワインを造るドルーアン・ラローズは
96年に特級畑ミュジニーをおよそ0.13haほど手に入れて、
新たにミュジニーを造りはじめました。
さてそのミュジニー98年、数年前に購入し、セラーで長いこと寝かせていましたが
ちょっとした会合があったため、吉祥寺の行きつけの寿司屋で
とうとうあけてみることにしました・・・ゴクリ


98年はブルゴーニュは不振の年でしたが、これは、やはりすごい
さすがとしかいいようがない!
濃く滑らかな液体からたちのぼる、スミレ、赤い小さな薔薇、そして豊かな土の香り……。
繊細でエレガントだが、華やかさも兼ね備えたまさに
グランクリュ中のグランクリュ


寿司屋のおやじさんも、ワインに負けまいと腕を振るって
さまざまな旬のネタを用意してくれましたが、
このワインの素晴らしさに勝てるものはありませんでした。
ルーアン・ラローズ、そしてジャック・フレデリック・ミュニエ
このふたつのドメーヌの造る特級「ミュジニー」は他ドメーヌ
よりもぐんとお買い得ですが、味わいはけっして劣ることはなく、
飲むものを幸福にしてくれること、請け合いです。

神の雫(5) (モーニング KC)

神の雫(5) (モーニング KC)

神の雫(4) (モーニング KC)

神の雫(4) (モーニング KC)