アサヒ・コムでコラム連載がスタートします!
「神の雫」を読んでいただいてるみなさん。
あまりにもお久しぶりです!
(どうして一年も更新しないんだあ〜!というお叱りはごもっとも。
しかし、光陰矢の如し。ホントに早いですね、1年って)
この一年間で、ありがたいことに「神の雫」の読者はとてもとても増えました。
お隣の韓国ではデス・ノートをも超えるブッチぎりのベストセラーになっており、
いまやCEOの必読書などともいわれていて、ワインの売り上げ増大にも大いに
貢献しているみたいです。(上の写真は、ソウルの有名ワインショップに
設置されている神の雫ワインのコーナーです)
月並みですが、これもみなさまのおかげとしかいえません。
でもって、4月1日つまり本日からは、「アサヒ・コム」にて亜樹直コラムが
始まることになりました。
題名は「神の雫作者のノムリエ日記」です。
毎週木曜日更新で、神の雫の制作秘話や、ワインの取材の話など、
さまざまに語っていこうと考えています。
これは、締め切りのないブログとちがって、毎週キッチリ締め切りがまわってきますから、
毎週、怠けずに更新します。ハイ。
これからしばらくのあいだは「アサヒ・コム」にてお会いしましょう。
みなさんのアクセスをお待ちしています!
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追記
ちなみに今、コント・ドゥ・ローブのブラン・ド・ブラン ブリュットというスパークリングを呑んでおります。
なぜ、そんなマニアックな泡を?
という疑問は、そう遠くないうちに、本誌で解決する予定。
では、また!
アサヒ・コムのコラム、お楽しみに!
久しぶりというにはあまりにも……。
ほとんど閉鎖状態に追い込まれていた当ブログ、ほとんどもはや訪れる人も
いないって感じになりつつあるかもしれませんねー。
毎日、日替わりメニューが出されるのが当たり前の食堂で、ここは
へたすると月替わりになっちゃってますから、そりゃ無理もない話で……。
どうも、最近コマゴマと忙しく、なかなかじっくりとコレを書けない
んですねぇ。
正月には週一回更新宣言をしましたが、それもどーも難しい……。
ま、いちばんの原因は、亜樹が生来の「ナマケ者」であるという
ことがおっきいんでありんすが……。
今後も気まぐれに更新するようなブログになりそうですが、
気が向いたらのぞいていってくださいね。ハハハ……。
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ところで、先週は、ちょっとすごいワインをのみましたよ。
聞いてびっくり……なななんと、ドメーヌ・ジャック・プリュール
クロ・ドゥ・ヴージョ2002年です!!
もう、世界中をさがしても1本もないであろうこのワイン、
世界的権威を誇るワイン情報誌「ワインアドヴォケイト」
153号が96〜99点というほとんど満点に近い
高得点を与えた「夢のワイン」なんです。
どうしてこんなすげえワインを、まだとんでもなく若い時期に
開けてしまったのか……答は「魔が差した」。
神楽坂にある、『神の雫』にいつも協力してもらっている
美味な飯とワインの店「ポワソン」でちょいと打ち合わせ、
ということになり、「さあて、じゃあなにを持ち込もうかなぁ」
とワイン蔵の棚をじいーっとみつめているうちに、
なんか、このワインのエチケット(ラベル)が目に飛び込んできた
んですね。ワインに呼ばれた、という感じでしょうか。
気がついたら、ケータリング・バッグのなかにこのワインを
押し込んでいました……。
まあ、しいていいわけをするなら、「96〜99」の開きって
いったいなんなのよ、とも思ったわけです。1点なら
まだわかりますが、経年変化によって3ポイントも伸びる
……それ、ふしぎなことですよね。また、そういう飛躍が先読みできる
ワインって、いったいどんな味わいなんでしょうか。
このクロブジョのなかに、どれほど凄い可能性が秘められて
いるんでしょうか。
ま、それを知る意味でも開けてみたくなっちゃったわけですね。
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最高評価を受けたクロブジョ、
まず、グラスにそそがれた最初の一口を飲んでみます。
が、「こりゃ〜硬い!」思わず叫んでしまいました。
ポワソンのイケメンオーナー・Tさんはまよわず、
「うーん。デキャンタですね、これは」
たしかに固く閉じたつぼみのようで、開くのをまっていたら、
マジで夜明けになりそうです。
Tさんは、ワインのテイスティングにおいては相当な御方なので、
亜樹も素直にそのお言葉に従うことにしました。
そして、ソムリエ氏が蝋燭を灯しつつ丁寧にデキャンタージュをしてくれました。
さて、デキャンタ後しばしまって、さっそく飲んでみます。
おー、なんていう濃い味!
いっしょに飲んでいた編集者T氏は「まるでボルドーの濃いやつ
みたいっすね」とのたまう。
たしかに……。
濃い紫色で光を透さない液体は、黒く芳醇な土の香り、
ダークチェリー、赤身の上等なもったりとした肉、薔薇、
そしてナツメグなど複数の香辛料の味わいが溶け込んでいて
なんともいえず複雑な味わい。その複雑さは、時間を経るごとに
増していき、抜栓+デキャンタ後2時間で、大輪の真紅の薔薇の
ように見事に花開きました。そうか、この蕾が花開くような
美しい変化が、3点のポイントアップなのだな〜、なるほどなるほど。
いやー、まさに2時間経過後のこのワインの見事さは
ハンパじゃないもんがありました。
じつは亜樹、これをもう1本隠し持っていますので、あと10年
したら、満を持して飲んでみることにします。
きっと今回よりも見事な「大輪の薔薇」が見られることでしょう。
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ブルゴーニュの「良心」
ほんとうに、このドメーヌのワインを飲むたびに、
「きっと、生産者はすご〜くいいヒトなんだろうなぁ」と、
亜樹はつい思ってしまいます。
儲け心とかではなく、
おいしいワインをたくさんの人に飲んでほしいと思っている
良心的で、温厚な作り手の姿が思い浮かんでしまうんですねぇ。
このドメーヌ「ドルーアン・ラローズ」はジュヴレイ・シャンベルタン村に
本拠を置き、綺羅星のごとき特級畑を6つも所有しています。なんと自社所有畑の半分が特級畑
だというのだから、「すごい」というほかに言葉がありません。
ところが、そのように数多くの特級畑を持ち、
素晴らしいワインを世に送りだしながら、けっして
金儲け優先ではありません。
なぜなら、価格が軒並み高騰──とくに特級畑は万札なしでは買えない
状況になりつつあるブルゴーニュ・ワインの中で、ここは1万円
を切る価格で、品質の高い特級ワインが買えるのです。
たとえば、亜樹がときどき利用しているネットショップ『K』をのぞいてみますと、
特級畑「シャンベルタン・クロ・ド・ベズ」02年が9800円。
ミュジニー村の特級「ボンヌ・マール」02年が8800円(ちなみに
ここのボンヌ・マールは、むちゃくちゃ美味なんです)
同じく特級シャペル・シャンベルタンが5000円台、
特級クロ・ド・ヴージョが7000円台……という具合。
まあ、高いといえば高いのかもしれないですが、このドメーヌ
のつくるワインのレベルはかなり高く、どれを飲んでも「はずれ」はありません。
それを思えば、これらのワインの値段は、そうとうに良心的
だと亜樹は思います。
そんなドルーアン・ラローズの最大の「お宝」は、なんといっても
シャンボール・ミュジニー村を代表する特級畑の「ミュジニー」です。
もともとシャンベルタン村でワインを造るドルーアン・ラローズは
96年に特級畑ミュジニーをおよそ0.13haほど手に入れて、
新たにミュジニーを造りはじめました。
さてそのミュジニー98年、数年前に購入し、セラーで長いこと寝かせていましたが、
ちょっとした会合があったため、吉祥寺の行きつけの寿司屋で
とうとうあけてみることにしました・・・ゴクリ。
98年はブルゴーニュは不振の年でしたが、これは、やはりすごい!
さすがとしかいいようがない!
濃く滑らかな液体からたちのぼる、スミレ、赤い小さな薔薇、そして豊かな土の香り……。
繊細でエレガントだが、華やかさも兼ね備えたまさに
グランクリュ中のグランクリュ!
寿司屋のおやじさんも、ワインに負けまいと腕を振るって
さまざまな旬のネタを用意してくれましたが、
このワインの素晴らしさに勝てるものはありませんでした。
ドルーアン・ラローズ、そしてジャック・フレデリック・ミュニエ、
このふたつのドメーヌの造る特級「ミュジニー」は他ドメーヌ
よりもぐんとお買い得ですが、味わいはけっして劣ることはなく、
飲むものを幸福にしてくれること、請け合いです。
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またまた久しぶりで更新・・・。
2月は短かったですね!
ほんの2、3日ばかり短いだけなのに、すごく早い気がするのは亜樹だけでしょうか。
この前更新したと思ったら、もう月末……。あ、またいいわけしていますね。
すみません……。
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さて先日、青山の某炭焼きレストランでお食事を、
と某ワイン関係の方からお誘いがあり、
もちろん喜んで応じることにいたしました。
先方から「なにか1本、話のネタになりそうなワインがあれば
持ち込み可能ですよ」なんてお申し出もあったりしたんで、
セラーをひっくりかえして、持ち込み用ワインを物色……。
でも意外と、ないんですよねぇ。
ブルゴーニュじゃ炭焼きに合わなさそうだし、
ボルドーでもあんまり若いのはちょっと刺々しいし……。
すると、ありました、ビタコンのが。
『ラ・ミッション・オー・ブリオン』87年。
グラーヴ地方の87年はビンテージ的にはまあまあといったところですが
ズバリ飲み頃をむかえていそうだし炭焼き→スモーク
→グラーヴのワインの持つ特徴的な煙草のアロマと、
ばっちりマリアージュしそうです!
ヨシ、こいつとあわせてみよう……と決めました。
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ちなみに、87年のグラーヴは、五大シャトーの一角をなす
『シャトー・オー・ブリオン』を昨年、飲みました。
これはちょっとピークをすぎていたようで、スモーキーさは際立ってましたが、
やや枯れた味わいで、少しインパクトに欠ける感じがしました。
なので、多少不安はあったのですが、「オー・ブリオンがいまいちな年は
ラ・ミッションが抜群にいい」なんて話をどこかで耳にした記憶があった
ので、ひょっとしたら大当たりかも……などと思いつつ抜栓。
グラスに注ぐと、インクのように濃い色です。
本当に、月のない夜のように、濃い。
飲んでみると、まず肉のような香り、黒胡椒やナツメグ、
芳醇な土の香りに混じって、複数の果実を煮込んでつくったような
甘いジャムのような香りがします。
意外にも、亜樹にはグラーヴ特有の煙っぽさよりも、
この甘い香りのほうが際立って感じられました。
ふしぎです。
刺々しさはすべて時間のなかに溶け込んでいて、
豊かでエレガントで官能的……う〜〜ん、なあんて美味いんだ!
炭焼きにももちろん合いますが、料理よりもワインの
素晴らしさにほれぼれし、同席した2人もグラスのなかの黒い液体を
みつめて「うまいっすね〜」「いやあ、これはいいですなあ」
とほめ言葉を連発していました。
その夜は、雨が降ってとっても寒かったのですが、
極上の赤ワインを飲んで、身も心も、芯から温まった亜樹でした。
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追悼・ドニ・モルテ
ずう〜〜っと更新をさぼってました……正月の反省が生きてません。
じつは1月末に大風邪をひき、あんなことやこんなことが
ぜ〜んぶ滞っていて、ついつい……。いや、いいわけは見苦しいですね。
ゴメンナサイ。
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さてっ、それはそうと、去る1月30日……ワインファンにとって衝撃的な出来事がありました。
なんと、ブルゴーニュのスター生産者、ドニ・モルテ氏が逝去されたのです。
享年、50歳だったそうです。
最初にこのニュースを聞いた時は「エッ、ドニさんてまだ若いはずでは」と
違和感をいだきましたが、続報を聞いたところ、醸造所の駐車場で
あろうことか拳銃自殺をされたとか・・・。
まだ真相がはっきりしたわけではないようですが、それにしても・・。
ワイン造りに悩んでのことなのでしょうか。
いやもっと深い、外からは窺い知れぬ何かが彼を苦しめていたんでしょうか。
ドニ・モルテ氏のワイン、じつは最近飲んでいなくって、去年の秋ごろに
ジュヴレイ・シャンベルタンのアン・デレVV(村名畑つき)の2000年を
飲んだのが、たしか、最後です。
彼のワインは、果実味を全面に打ち出していくいわゆるモダンな
スタイルですが、亜樹はわりと好きな生産者のひとりで、
どんなレベルのワインを飲んでも「おいしいな」と思わせて
くれるのが凄い、と思っておりました。ただ、価格が相対的に高すぎる
のがひっかかり、亜樹のワイン倉庫における
異様な数のコレクションのなかにも、実をいうと、ドニ氏のワインは
それほど多くありません。
この2000年村名畑つきも、端麗な作りではありましたが、
正直いって、あまりパワーのないワインでした。
もちろん、さすがドニ・モルテで、最初の1時間くらいは華やかな
香りと甘い果実味を堪能させてくれるんですが、それ以降、なぜか急速に
すっぽ抜けてしまったのですね。
イメージでいうと、そう、まるで線香花火のようなか細い美しさでした。
最初の一瞬だけ小さな花のように美しく開いてみせ、あっというまに
生命力を失うというのか・・・。もちろん、2000年はブルゴーニュ
受難の年といってもいい貧相なビンテージではありましたが・・。
2000年のワインの儚げな味わいを思い出しつつ、
マジメで繊細、なにごとも徹底追及タイプだったといわれるドニ氏は、
モノ造りの迷宮に嵌まってしまったのかもしれないなぁ、と
勝手な思いを巡らせます。
もしかすると「天上のワイン」を追い求めるあまり、息苦しくなってしまった
のかも……。
いやいや、勝手な想像はやめましょう。いまはただ、冥福を祈るばかりです。
ブルゴーニュの星の死によって、彼の名前のワインがこれ以上値上がり
しないことを祈りつつ・・・・。
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2002年DRC一気試飲……つづき!
斎藤氏みずからの手で、トレイに載せられ別室に運び込まれた
2002年DRC、珠玉の特級ワインたち。
ティスティングに使う、番号のついた丸い輪が書かれたペーパー
の上に、斎藤さんがひとつずつ、グラスをならべてくれます。
左から時計回りに、ロマネ・コンティ、ラ・ターシュ、リシュブール、
ロマネ・サンヴィヴァン、グラン・エシェゾー、そして
エシェゾーです。これは、見事に値段の順番でもあり、
特級としてグレードの高い順番でもあります。
試飲は、もちろんライトなほうからです。
まずはエシェゾーから・・・。
¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢
「神の雫」単行本1巻の表紙の折り返し部分にもちらりと
書きましたが、亜樹はこのDRCの「エシェゾー」を熱愛しています。
なにしろワインにのめり込んだのも、エシェゾーの素晴らしい
味わいに衝撃をうけたのがきっかけだったんです。
実際、どんなオフ・ビンテージでも、DRCのエシェゾーは
不思議なほど魅惑的なんですよ。いわんや、世紀のグレート・
ビンテージといっても過言ではない2002年、さすがに
まだ若いでしょうが、美味しくないはずがない……と、
一口、口に含んでみると……。
ン?
ンン?
な、なんでしょう、これは。いつもDRCエシェゾーを飲んだ
瞬間に感じるあのシアワセ感が、まったく感じられません。
……というか、あんまり美味しくないぞ、これ!
「ねっ?例年のDRCとは違いますでしょう?」と、斎藤氏。
ほんとうにそうです。こんなエシェゾーは、初めて飲みました。
評論家のパーカーさんが02年DRCに辛口評価だったという
話、飲んでみるまでは「どうして?」と不思議でしたが、
飲んでみてわかりました。おそらく、DRCは葡萄の収穫時期を
見誤ったに違いありません。なんというか、ワインから葡萄の声が
聴こえてこない、ボンヤリとした印象です。
特級ラインナップの中では、若いうちは岩のように固く、
テコでも開いてくれないグラン・エシェゾーが、意外なほど
飲みやすかったのが印象的でした。その他の特級達は、
例年よりも「ちと平凡」な出来ばえだったですね。
ロマネ・コンティも、いまひとつ小ぶりな仕上がりで、
ラ・ターシュとの差があんまりないように思えました。
そういう意味では、ラ・ターシュの出来はよかったのかもしれません。
ロマネ・コンティとラ・ターシュの値段の開きはン十万ですが、
02年に限っていえば「その値段の差ほど、味わいの差はない」と、亜樹は思います。
¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢¢
天下のDRCでさえも、収穫のタイミングを見誤るとこのような凡作をつくる
ことがある……。どのような偉大な作り手も、天と大地の声に、
常に謙虚に耳を傾けていないと、決して偉大なるワインを造ることはできない、という見本かもしれません。
- 作者: オキモト・シュウ,亜樹直
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